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A memory with…

今回、写真展をやるにあたりタイトルを決めました。幻想と現実を混ぜて「幻実」。正しく言うと記憶です。しかし、記憶は曖昧で不確か。それをしっかりと残したくて、今は写真を撮っていますが、当時の僕には水中で撮る技術も夜の海を撮る技術もなく。僕にできた事は、記憶として覚えるのみだった。それは、真夜中の海。月が昇る前、いや新月だったのかもしれません。星々が照らす夜空は明るいのに、水面は漆黒の闇。灯台も航路標識の灯もない、何もない、真っ暗な海。わずかに照らされた波が高いと知ったのは夜が明けてからでした。あの場所には星と波と風のささやきしかなかった。波が囁く度に海面を夜光虫が黄緑色に照らす。そんな時、突然に「バシャ!」っという水を弾く音が聞こえた。その音が何だかわからないまま。音は確実にこちらの方へ近づいてきた。怖かった。サメは音もなく近づいてくるから、これはサメではないとわかりつつも。人なのか、フネなのか、他の海洋生物なのか。検討もつかなかった。水面は真っ暗で何も見えないのに、音だけ聞こえる。バシャ、バシャっと。近づいてくる。徐々に夜光虫に照らされた黄緑色の塊が水中にいるのが見えてきた。バシャっと言う音と共に、一瞬だけ消える。それが、イルカだとわかったのは目の前にきてから。シルエットからして3頭。いや、4頭だったかな?彼らは全身に夜光虫を纏い、照らされ、目元まではっきり見えた。と言うか、僕らは見つめあった。そして、彼らは僕の周りをぐるぐると回った。ただ、それだけの事。ただそれだけの事だけど、あの夜、あの場所は宇宙でその宇宙に僕はイルカと泳いだ。そう、幻実と言う言葉はイルカと泳いだ夜の思い出から生まれました。あの光景以上に現実とかけ離れた景色は、今も見た事がありません。 At the midnight ocean,…

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